底砂は本当に必要か?



ベルリン、プレナム、モナコ等のNNR方式は硝酸塩を自然に還元するシステムです。このシステムの紹介により、ミドリイシの長期飼育が可能になったことは言うまでもありません。NNR方式で紹介されてきたミドリイシの飼育方法を私なりに簡単にまとめると下記の通りです。

1.良質なライブロック
2.ある程度厚みのあるサンゴ砂
3.魚は少なめで無給餌
4.満遍なく行き渡る水流
5.強力な照明
6.プロテインスキマーの利用
7.カルシウムリアクターの利用
8.定期的な換水(添加剤)

しかしミドリイシのみの飼育では、ほとんど水質が悪化しないことがHGSystemの実験で明らかになりました。この実験によりどうしてミドリイシの飼育=NNR方式なのか非常に疑問に思いました。NNR方式はナチュラル方式とも呼ばれるように、自然の硝化、反硝化作用を利用するシステムで、当時私も水槽という閉鎖的環境の中でいかに自然の環境を作り出すかという憧れみたいなものを感じていました。だからプレナム(止水域)を作ることには非常に魅力を感じた時期もありました。ベルリンシステムを採用したときは、サンゴ砂も厚いところで8センチほどしかありませんでした。リセットするときにサンゴ砂が黒変している部分が数箇所確認され、これではしっかり還元されないことを知りました。その後プレナムをセットすることになったのですが、サイズ別にサンゴ砂を3層にしたため、完全なかたちのプレナムシステムではなかったと思います。プレナム面にかなり大きいサイズのサンゴ砂を敷いてしまったからです。そしてDSB(Deep Sand Bed)という、20センチほどのサンゴ砂直引きにリセットしました。砂を敷くシステムという考え方をすれば、このDSBが一番安定していたと思います。その後のリセット時、砂を取り出すときには全く黒変した部分はありませんでした。現在私はプレナムを作るよりもサンゴ砂を厚めにした方がいいと思います。それは、外部的な要因でプレナムの止水が表面に漏れ出す危険性があるからです。例えば鉄砲エビやベントス系はぜ、クマノミの砂堀行為等は非常に危険と感じているからです。もっと簡単に言えば、腐った水が漏れ出すようなことにでもなれば、ミドリイシは絶対駄目になってしまうと思います。私は今までわからないことは実験し、その結果を公開するようにしてきましたが、これは想像です。絶対そんなことはないと思われる方は実験して、その結果を是非ご連絡ください。もし、影響がないのであれば、新しい発見があるかもしれません。

話がそれてしまいましたが、NNR方式に疑問を持つようになったのはミドリイシを飼育できる条件が整っていれば、水質をほとんど悪化させないということです。言い換えれば、硝酸塩が発生しないということになると考えたわけです。硝酸塩を還元する必要がないのであれば、NNRも必要ないということになります。ただし、これはミドリイシの飼育に限ります。魚を沢山いれれば硝酸塩は必ず出てくるので、今度はどれくらいの魚が収容可能か?という問題になってきます。過去に数人の有識者から、90センチの水槽で小魚が2〜3匹が限界という話を聞いたことがありました。この意見には本当に賛成です。しかし、まだまだわからないことも沢山あります。ライブロックだけでも硝酸塩を還元する力はあると思うのですが、それがどれくらいなのかがわかりません。さらに底砂を敷けばもっと還元力はアップするはずです。どれくらいのライブロックが、どれくらいのサンゴ砂がどれくらいの硝酸塩濃度を還元する能力があるのか・・・(・−・)・・・ん?実験??したくないですね〜。(-_-;)

誤解されないように書いておきますが、私は決してNNR方式を否定しているわけではありません。自然の海が目の前に・・・最高じゃないですか!でもNNR方式でなくてもミドリイシは飼育できるのではないかという意見なんです。人がやらないことがやってみたいだけなのです。

それから底砂のデメリットの方が大きいような気もしています。底砂を敷いていた時は、ベルリン、プレナム、DSB、全て藍藻が発生しました。特に水流が弱いところです。しかし、底砂を使用しないシステムで、約1年半ミドリイシを飼育してきましたが(半分は野放し状態)藍藻は全く発生しませんでした。それから思った以上にデトリタスが出てきます。このデトリタスで底砂が糞詰まり状態になってしまうかもしれません。

硝酸塩が発生しないからNNRは必要ないと思いますがいかがでしょうか?
最後にこれは私的考え方であるので、参考程度にしていただければ幸いです。