なぜ無給餌なのか



ナチュラル(NNR)システムのNNR(Natural Nitrate Reduction)を直訳すると「自然に硝酸塩を還元するシステム」ということになりますが、私的考え方をすれば、これは基本的にサンゴを飼育するシステムだと思っています。なぜ苔や藻類に悩むのかを考えてみると、その直接的原因は2つあるのではないでしょうか?

1.水道水をそのまま使用している
2.程度にもよるが餌を与えている

私の持っている水槽のひとつにイソギンチャク水槽があります。一時イソギンチャクにクリルを与えた時期がありましたが(5回ほど?)、無給餌水槽と考えても良いでしょう。ところがヒゲ苔水槽になっています。それはRO/DI(逆浸透膜/イオン交換樹脂)を通さずに蒸発した水分の補給を直接水道水で行っているからです。珪藻はシリカ(珪素)があると生えてきてしまいますが、いくら無給餌でもRO/DI水を使わなければ、珪藻や藻類(ヒゲ状の緑苔)はどんどん繁殖してきてしまいます。飼育水にシリカが含有して無くても蒸発分の水分を水道水で補給すれば珪藻や藻類が繁殖してきますが、これは実際に経験したことなので間違いないと思います。

魚をある程度入れている水槽は見ていても綺麗です。でも私のサンゴ水槽にはキイロハギしか入ってなく、しかも無給餌です。
では、なぜ無給餌にこだわるかを考えてみましょう。
答えは簡単です。餌にはリンが沢山入っていますが、このリンも藻類の栄養源なのです。だから餌を与えなければリンで悩むこともなくなるのではないでしょうか?
吸着材を使用してリンを除去する方法もありますが、このリンには4つの種類があり、吸着材でも除去できないリンがあるようです。

私達が試薬でリン酸塩濃度を測定したりしますが、これに反応するリンがオルトリン酸だそうで、吸着材に吸着されるリンもこれだそうです。試薬に反応せず、吸着材にも反応しないリンが不溶性無機リン&有機リンだそうです。言い方を換えると試薬で検出できる、あるいは吸着材で除去できるのはオルトリン酸(溶解性無機リン)のみということになります。これらは砂や岩に沈着して長期にリンを放出し、藻類がこのリンを使ってより繁殖するようで、いったん藻類が出始めるとブルーム(植物性プランクトンの爆発的繁殖)しやすくなるようです。

それでも魚をある程度入れて餌やりを行いたいのであればどうしたら良いのでしょうか?多少の藻類は諦めるしかないと思いますが、ナマコの導入が効果があるようです。ウニやヤドカリ、ハギ類も藻類を食べてくれます。ただ個体差があるということと、もしこの説が正しければこれが抜本的な解決策にはならないような気がしています。
また、それほど強くない照明でもある程度の藻類は抑えられるようです。

海藻にオルトリン酸を吸収させる方法も考えられますが、海藻が吸収できる量は乾燥重量の2%ほどらしいのでほとんど期待できないかもしれませんが、正直言って良くわかりません。

とにかく餌であるリンを与えなければ、それほどリンに悩まなくても良いような気がしますが、プレナム水槽で魚を飼育している方も実際にはみえます。今まで書いたことが正しいのであれば、いずれは崩壊するような気がしますが、ひょっとして崩壊しないかも知れません。自分で実験をして出した答えではないのでなんとも言えませんが、この水槽が特に問題なく維持できるのであれば、考えを改めなければならいと思っています。

以上、なぜ無給餌なのかついて考えを述べさせていただきました。
最後にこれは私的考え方であるので、参考程度にしていただければ幸いです。

追加

上の方でシリカに関することを書きましたが、場合によってはシリカが有効な場合があります。確か殺菌効果?があるような・・・違ってたらごめんなさい。
私はそのようなケースを過去に経験したことがないので、徹底的にシリカ除去に努めています。苔は美観を損なうばかりでなく、掃除も大変ですから・・・
でも変な病気にでもなるようなことがあれば、迷わずシリカの導入を試みたいと思っています。ケースバイケースなんでしょうね!