人工海水と試薬について

人工海水にも種類がありますが、それぞれどんな特徴があるのか良くわかりません。そこで種類は少ないですが3種類の人工海水のデータを取ってみました。比較したのはインスタントオーシャン、ライブシーソルト、BIO・SEA、パーフェクトマリンです。

まずはpHですが、念のためデュプラのpH4とpH7の校正液で校正をしましたが、海水はpH4とpH10で校正をした方が良いようです。

校正液pH4 デュプラ 校正液pH7 デュプラ

今回の注意点は下記の通りです。

 1.水温を25度に合わせる
 2.比重計は新品を使い、1.023に合わせる
 3.人工海水が良く溶けるように、バケツからバケツへの移し替えを10回行う
   (パワーヘッドでの撹拌よりもはるかに早く良く混ざります)
 3.比重は細かな気泡がなくなってから測定する
 4.KHを測定するときの海水は誤差を少なくするため注射器で5ml計る
 5.KHを測定するときは色が完全に黄色になった時と、その直前の黄緑色を画像に残す
 6.KHの測定はテトラとシーケムの2種類で比較する
 7.カルシウムはレッドシープロとサリファートと全く同じ数値が出たのでレッドシープロで測定する
 8.pHはpH計とシーケムで比較する
 9.測定項目にマグネシウムを追加する
10.シリカは判断しやすいレッドシーで測定する
11.浄水器、RO/DIは全て新品に交換する

pH測定結果

インスタントオーシャン ライブシーソルト BIO・SEA パーフェクトマリン
水道水+パーフェクトマリン 飼育水(消灯後) リアクター排水

シーケムでのpH測定結果です。めちゃくちゃわかりづらいですね。(;´Д`A ```


テトラでのKH測定結果です。

インスタントオーシャン10滴 インスタントオーシャン11滴 ライブシーソルト6滴 ライブシーソルト7滴
BIO・SEA9滴 BIO・SEA10滴 パーフェクションマリン13滴 パーフェクションマリン14滴

シーケムでのKH測定結果です。この色になるまでの試薬添加数です。


レッドシーでのシリカ測定結果です。ppmでの判断はしにくいので、濃さで判断して下さい。

インスタントオーシャン ライブシーソルト BIO・SEA パーフェクトマリン
水道水+パーフェクトマリン 飼育水 RO/DI水

カルシウムはレッドシープロとサリファートの両方で測定してみましたが、全く同じ数値になりました。どうも全体的に低めに出ているような気がしますが・・・

シーケムでのリン酸測定結果です。インスタントオーシャンだけわずかに検出されました。



インスタントオーシャン ライブシーソルト BIO・SEA パーフェクションマリン
pH 8.08 (比重計)
pH 8.10 (シーケム)
pH 8.43 (比重計)
pH 8.25 (シーケム)
pH 8.45 (比重計)
pH 8.25 (シーケム)
pH 8.06 (比重計)
pH 8.10 (シーケム)
KH 11 (テトラ)
KH 10 (シーケム)
KH 7 (テトラ)
KH 7 (シーケム)
KH 10 (テトラ)
KH 9  (シーケム)
KH 14 (テトラ)
KH 13 (シーケム)
Ca 325 (レッドシー) Ca 350 (レッドシー) Ca 230 (レッドシー) Ca 325 (レッドシー)
P 0.03 (シーケム) P 0.00 (シーケム) P 0.00 (シーケム) P 0.00 (シーケム)
Si 0.25 (レッドシー) 0.15 (レッドシー) 0.05 (レッドシー) 0.10 (レッドシー)
Mg 1063 (シーケム) Mg 1163 (シーケム)  Mg 638 (シーケム) Mg 875 (シーケム)


ところで、カルシウムの測定方法ですが、なんと間違っていました! (/・ω・\) ハズカシイ♪
レッドシープロの説明書には、「1ml注射器は1目盛りが0.01mlです。試薬Cの消費量0.01mlがカルシウム濃度5ppmに相当します。」と書いてあります。つまり試薬Cを添加した量×5=カルシウム濃度ということになるんです。以前は試薬Cの添加量をそのまま読みとっていました。表の値はちゃんとしたカルシウム濃度です。

次にサリファートの説明書には、「色が変わったら、注射器の先端を上に向けて固定し、試験管のピストンの黒いゴムがある位置の数値を読みとって下さい。注射器の1目盛りは0.01mlに相当します。読みとった数値を表に当てはめるか、下記の計算を行うとカルシウム濃度がわかります。
カルシウム濃度(ppm)=(1−読みとった数値)×500」

こちらは試薬の添加量ではなく、あくまでも注射器の黒いゴムの目盛りを読み、表の当てはめるか計算式に当てはめるかのようです。
また、「水道水で人工海水(レッドシーソルト)を溶かすと、カルシウム濃度はおよそ380〜450ppmとなりますが、RO水などを使用するとカルシウム濃度はもっと低くなります。」と説明書に書いてありました。でも水道水で比較してみたけど、同じ数値が出ました。(o_□_)oドテッ


皆さん人工海水を選ぶ基準はなんですか?カルシウム?pH?KH?溶解度?値段?ネームバリュー?非常に難しいですね。ここまでくると、これが良い!って結論は個々で出すべでしょうね。ほんとに難しいですね・・・

それから今回実験して感じたことは、それぞれLOTによる差が絶対にあるような気がします。製造工程が良くわからないので何とも言えませんが・・・




続いて硝酸塩試薬について考えてみたいと思います。

ミニ水槽、ショップの海水、メイン水槽、念のため水道水の硝酸塩を測定してみました。

ミニ水槽 ショップの海水 メイン水槽 水道水

本当に判断に悩みますが、比較はできると思います。
ショップの海水は硝酸塩が検出されました。12.5〜25.0ppmの中間くらいでしょうか?ちなみに試薬はマリンアートで5分後の結果です。各試薬は待ち時間が書いてあるのでちゃんと待ちましょうね。水道水は6ppmくらいです。

さて、レッドシーの試薬で硝酸塩のデータ取りを行ったところ全て検出されませんでした。どうやら試薬のメーカーで数値が違って出るようですね。

我が家の水道水はマリンアートで6ppmくらい、レッドシーでは0ppm?という結果が出ました。さてどちらの試薬が正しいのだろうか?そこで、厚生労働省健康局水道課の水道水質データベース(2000年度)で我が家の水道水の硝酸性窒素がどれくらい検出されているのか調べてみました。下に示したのは、愛知県の各浄水場で硝酸塩窒素がどれくらい検出されたのか、最高値、最低値、平均、回数をまとめたものです。

硝酸性窒素濃度 水源名 最高値 最低値 平均値 回 数
上野浄水場 木曽川 0.45 0.19 0.33 12
高蔵寺浄水場 木曽川 0.46 0.28 0.37 12
豊橋浄水場 豊川 1.80 0.51 0.86 12
豊川浄水場 豊川 0.70 0.26 0.43 12
蒲郡浄水場 豊川 0.80 0.46 0.60 12
幸田浄水場 矢作川 0.55 0.29 0.44 12
豊田浄水場 矢作川 0.45 0.25 0.36 12
犬山浄水場 木曽川 0.59 0.30 0.39 12
知多浄水場 長良川 1.30 0.61 0.96 12
豊橋南部浄水場 豊川 0.46 0.27 0.40 12
尾張西部浄水場 木曽川 0.70 0.36 0.44 12
尾張東部浄水場 木曽川 0.48 0.24 0.35 12

硝酸イオンの濃度に換算したのが以下の表です。どうして換算する必要があるのかというと硝酸性窒素というのは硝酸イオンや硝酸塩の形で含まれている窒素で、NO3−のNだけを指しているからです。Nの原子量は14で、NO3−の分子量は14+16×3=62だから、硝酸性窒素濃度から硝酸イオン濃度を求める場合は4.43を掛ければ求められます
そこで下の表は上の表の硝酸性窒素に4.43を掛けた硝酸イオン濃度を表示してみました。


硝酸イオン濃度 水源名 最高値 最低値 平均値 回 数
上野浄水場 木曽川 1.99 0.84 1.46 12
高蔵寺浄水場 木曽川 2.04 1.24 1.64 12
豊橋浄水場 豊川 7.97 2.26 3.81 12
豊川浄水場 豊川 3.10 1.15 0.19 12
蒲郡浄水場 豊川 3.54 2.04 2.66 12
幸田浄水場 矢作川 2.44 1.28 1.95 12
豊田浄水場 矢作川 1.99 1.11 1.59 12
犬山浄水場 木曽川 2.61 1.33 1.73 12
知多浄水場 長良川 5.76 2.70 4.25 12
豊橋南部浄水場 豊川 2.04 1.20 1.77 12
尾張西部浄水場 木曽川 3.10 1.59 1.95 12
尾張東部浄水場 木曽川 2.13 1.06 1.55 12

我が家の水道水は上野浄水場から来ているようです。ということは、平均で1.46ppmの硝酸イオンが検出されているのですが、マリンアートでは6ppm、レッドシーでは0ppm?
少なくとも硝酸イオンは検出されるわけだから、レッドシーでは判断できないってことか?ではマリンアートの約1/4と判断すべきだろうか?でも3年前のデータだし、季節変動もあるはずなので・・・
やはり判断はできません。

そこでネットで調べたHPを参考に、再度水道水質データベースで比較してみることにしました。
そのHPにはたまたまマンションの受水層の水質検査が行われ、このときの水質会社が出した硝酸塩の測定値は4.84ppmマリンアートでは6ppmを示したようです。試薬に入っている粉末の添加量で大幅に測定結果が異なると注意点も書いてありました。マリンアートは正確な試薬の一つであろうと評価されていました。そしてレッドシーで横浜市の水道水を測定した結果やはり硝酸イオンは検出されなかったみたいです。
aquashotさんのHP 飼育器具使用レポート(辛口徹底レポート)の測定試薬


水道水質データベースには神奈川県としてしか情報はありませんでした。横浜市の浄水場が良くわからなかったのでこのデータベースから拾ったものが下の表です。

硝酸性窒素濃度 水源名 最高値 最低値 平均値 回 数
伊勢原浄水場 酒匂川 1.30 0.76 1.10 51
相模原浄水場 酒匂川 1.70 0.70 1.20 51
西長沢浄水場 酒匂川・相模湖 1.40 1.00 1.30 51
綾瀬浄水場 豊川 2.30 1.00 1.60 51

硝酸イオン濃度 水源名 最高値 最低値 平均値 回 数
伊勢原浄水場 酒匂川 5.76 3.37 4.87 51
相模原浄水場 酒匂川 7.53 3.10 5.32 51
西長沢浄水場 酒匂川・相模湖 6.20 4.43 5.76 51
綾瀬浄水場 相模川 10.19 4.43 7.01 51

こちらは水質会社が出したという数値やマリンアートに近い数値がちゃんと出てます!やはりレッドシーでは検出されないのですかね?

今回の実験で感じたことは、所詮試薬といえどホビーですから、参考程度にしかできないということです。ただ言えることは、レッドシーの硝酸塩試薬は高濃度用なのかもしれません。いろんな試薬を試して、自分で判断するしかないと思います。